名師堂の千斤について曽朴が語る
「千斤(せんきん)を交換すると、本当に音は変わるのでしょうか?」
二胡を長く演奏されている方ほど、この疑問を持たれることがあります。
実は千斤は、二胡の音程・音色・響き・演奏性に大きく影響する、とても重要な部品です。
私は30年以上にわたり二胡の製作・調整・研究を続け、数え切れないほど多くの二胡を調整してきました。
その経験から言えることがあります。
二胡を調整する際、私は「千斤」と「駒」の調整に最も時間をかけます。
それほど重要な部品なのです。

千斤とは?
千斤(せんきん)は、二胡の棹に取り付けられている上駒です。
一方、ニシキヘビ皮の中央に置かれている部品が駒です。
千斤の役割は、弦を棹へ引き寄せてしっかり固定することです。
そして、千斤と皮の中央に置かれた駒によって、二胡の発音区が形成されます。
この発音区によって、
– 発音区の長さ
– 音程
– 音色
– 響き
が決まります。
千斤から駒までの長さを発音区と呼び、この部分が二胡の音程を決める最も重要な区間です。
私は30年以上二胡の製作・調整に携わってきましたが、二胡の性能を左右する最も重要な部品は「千斤」と「駒」だと考えています。
なぜ名師堂では糸千斤を採用しないのか
一般的な二胡には、糸を巻いた千斤(糸千斤)が使われています。
そのため、
「糸千斤が普通であり、正しいもの」
と思われている方も少なくありません。
しかし、私はそうは考えていません。
私の考えを変えた日本のお客様の一言
名師堂を開業した後、あるお客様からこのようなお問い合わせをいただきました。
お客様
「糸ではない、ちゃんとした千斤はありませんか?」
私は驚いて尋ねました。
「どうしてですか?」
すると、
「糸千斤は、演奏中に弦を引き寄せている糸が少しずつ下がり、その結果、発音区が変化して音程が不安定になるからです。」
という答えが返ってきました。
私は中国で二胡を学び、長年演奏してきましたが、それまで糸千斤について、
「音程が不安定だから改善してほしい」
という話を聞いたことがありませんでした。
しかし改めて研究すると、まさにその通りだったのです。
中国では問題にならなかった理由
では、なぜ中国では長年問題にならなかったのでしょうか。
私自身を振り返ってみると、少年時代は先生に言われた通りに練習するだけで、千斤が音にどのような影響を与えるかなど考えたこともありませんでした。
また、多少音程が変化していても、演奏技術によって自然に修正しながら演奏することができたため、大きな問題として意識することはありませんでした。
一方、日本では事情が違います。
現在、日本で二胡を始められる方の多くは大人です。
しかも、ピアノやバイオリンなど他の楽器経験のある方が多く、学校などで音楽教育を受けてこられた方も少なくありません。
そのため耳が非常に良く、音程のわずかな違いやノイズにも敏感です。
だからこそ、
「もっと音程が安定し、ノイズの少ない千斤が欲しい」
というご要望を数多くいただきました。
その声に応えるため、私は名師堂オリジナルの固定千斤を開発しました。
千斤の種類と特徴
① 糸千斤

一般的な二胡に使用されている、最も普及している千斤です。
特長
– 糸だけで取り付けることができる
– 位置を自由に簡単に変更できるわけではなく、位置を変える場合は巻き直しが必要で、初心者には難しい
欠点
– 緩みやすい
– 演奏中に弦を引き寄せている糸の位置が少しずつ下がることがある
– 発音区が変化し、音程が不安定になりやすい
– ノイズが出やすい
– 長年使用すると切れることがある
② 金属製千斤

京胡式千斤とも呼ばれます。
特長
– 固定力が強い
– 耐久性が高い
欠点
– 音色が硬くなりやすい
– 金属音が出やすい
– 開放弦の響きが美しくない
– 二胡本来の柔らかい音色を損ないやすい
③ 名師堂オリジナル固定千斤

名師堂では、長年の研究をもとに開発した固定千斤を採用しています。
使用している素材は、
– 牛角(主成分:タンパク質)
– 象牙(主成分:カルシウム)※過去に使用
などの硬質素材です。
これらの素材は十分な強度と耐久性があり、長期間使用しても変形しにくいという特長があります。
さらに、弦と千斤が直接触れないようにゴムを介して固定することで、
– 音程が安定する
– ノイズを抑えられる
– 音色がより滑らかになる
– 豊かな響きを引き出せる
固定千斤は二胡本体と一体となって振動するため、弦の振動が効率よく棹へ伝わります。
その結果、ノイズが少なく、澄んだ美しい音色と豊かな響きを生み出します。
千斤の交換
二胡の音程が不安定で、ノイズが多くて困っている方には、私は固定千斤への交換をおすすめしています。
一度正しく取り付ければ、演奏中にずれることがなく、安定した音程と美しい音色を長く維持することができます。
ゴムは消耗品ですので、約1年を目安に交換することをおすすめしています。
自分に合った千斤の位置の決め方
私は千斤の位置を決める際、演奏者一人ひとりの左肘から中指の付け根までの長さを基準にしています。
千斤は高ければ良いというものではありません。
確かに高くすると発音区が長くなり、音量や響きが増す場合があります。
しかし、日本で二胡を始められる方の多くは、大人から始めた女性です。
手が小さい方では、千斤を高くしすぎると指が届きにくくなり、正確な音程を取ることが難しくなります。
私は音楽において最も大切なのは、正しい音程だと考えています。
どれほど音色が美しくても、音程が不安定では本当の音楽とは言えません。
だからこそ名師堂では、お客様一人ひとりの手の大きさに合わせて最適な千斤の位置を調整しています。
名師堂では、30年以上にわたる製作・調整・教育の経験から、駒から千斤までの発音区を約39cmに設定することが、音程・音色・演奏性のバランスが最も優れていると考えています。
もちろん、手の大きさや体格には個人差がありますので、必要に応じて一人ひとりに合わせて微調整を行っています。
曽朴から皆様へ
私は糸千斤が絶対に悪いと言いたいわけではありません。
しかし、初心者から中級者の方が安定した音程と美しい音色を身につけるためには、固定千斤の方が明らかに有利だと考えています。
だからこそ名師堂では、30年以上の製作・調整経験をもとに研究を重ね、現在のオリジナル固定千斤を採用しています。
二胡は、ほんの小さな部品一つで音色も音程も大きく変わる、とても繊細な楽器です。
これからも私は、より良い音色、より安定した音程、そして二胡本来の美しい響きを追求し続け、一人でも多くの方に二胡の魅力をお伝えできるよう研究と改良を続けてまいります。
[二胡の部品]について、千斤は二胡の音程、音色を左右する重要なパーツです。軽く観てはいけませんね。知らないと損!
二胡の千斤とは?二胡の音色・音質・音程に直接影響を与える重要部品。この千斤を付けると弦と棹の密着度抜群❗️音程が安定しクリアな音質と豊かな響き、楽器の本来の性能を十分に発揮します。試す価値あり。