初めて二胡を買う時の注意点
初心者の心理としては、二胡をどれほど長く続けられるか、不安なため、安価な二胡を選ぶ方がほとんどです。 現在、日本で流通している安価な二胡は、たいてい大量生産のおみやげ二胡で、音が悪いことが多く、このような二胡で練習しても良い音が出ず、ご自身も二胡を楽しむ境地には至らず、辞めてしまいたくなります。
おみやげ二胡で練習をはじめた生徒さんの話しですが、あまりにノイズが多いので、「二胡のケースを開けるだけで、ペットの猫が逃げ出した。」「練習を始めると家族に迷惑がられる。」「音が悪くて自分でもイヤになってしまう。」といった事をお聞きしました。しかし、安価でも良い練習用二胡との出会いはあります。
名師堂は安価な練習二胡も扱っています。私がプロデュースして、一流二胡製作職人の工房でオーダーし、私が一本ずつ調整しています。ほとんどノイズがありません。練習用としても美しい音色が楽しめます。まだお持ちでない方、是非お勧めします。お気に召さなければ、返品も可能です。
教室によっては、二胡購入の際、先生が生徒さんに一本だけ二胡を持って来て、購入させてしまう事もあります。しかし、先生が教室を辞めた場合やご自身がお辞めになった場合に困る事など、生徒さんは考えていません。二胡は必ずメンテナンスが必要ですので、信頼できるお店で購入するのが一番です。
二胡購入時に注意すべきポイント
1.直接名師堂にご来店して頂き二胡を選ぶ。
しかし、どうしてもご来店できない方は、名師堂サイトより曽朴が承ります。
2.お店の人に二胡を弾いてもらったり、また、弾ける人と一緒にお店に行き確かめて選ぶ。
二胡は個体差があるので、同じ物でも音が微妙に違います。ご自身で直接手に取って頂き感触を確認する。
3:好きな音色の二胡を選ぶ
蘇州二胡
哀愁のある深い音色が特徴
「日本人から見て二胡の魅力とは何ですか?」と尋ねると、ほとんどの人が、「哀愁を帯びた音色である」と答えます。
中国人の好みやセンスとは違い、日本古来の侘び寂びの文化にも溶けこむような落ち着いた音色を求める人が多いように思われます。そのような方には蘇州二胡がお勧めです。
現在の中国では、華やかな音が好まれ、明るい音色が好んで取り入れられています。反対に日本では伝統的な音色の蘇州二胡が好まれます。
また中国江南地方は日本の気候が似ているため、温度や湿度の点で、二胡の材質や音に影響を受けることがほとんどありません。
北京二胡
音量が大きく、バイオリンのような音の明るさがあり、敏捷な音の反応を鮮明に聞かせる事ができます。 華やかな音色なので、バイオリンの曲や、中国北方地方劇の曲などを弾くのに特にお勧めです。
注意しなければならないのは、北京は乾燥した気候のため、日本に輸入された北京二胡は、材質や音色などに変化を起こしやすく、十分な注意が必要です。
上海二胡
上記の二胡のような、これといった個性はありません。上海二胡は日本では現在大量に販売されています。
上海民族楽器大手メーカーによる、大量生産のため、皮を機械で張っているので、音色に当たりはずれがあります。
4.材質から選ぶ
紅木
「紅木」はほとんど練習用二胡として作られています。
老紅木
「老紅木」は中国でもプロ演奏家に好まれております。哀愁を帯びた音色が特徴で、見た目も美しい二胡です。価格は比較的求めやすいです。
黒檀
「黒檀」は北京二胡によく使われています。音の特徴は明るく美しい音色です。
血檀
血檀は音色が柔らかく、深く美しく、音の響き方が良いのが特長です。演奏時に、棹に手を滑らせるとわかりますが、大変滑らかで、感触は秀逸です。
紫檀
「紫檀」は高級二胡に使われる材質です。色は最初褐色ですが、月日を経るにつれ次第に紫に変化していきます。低音部が深く、高音は明るい音色が特長です。「紫檀」が最高の素材です。
5.名品を騙る偽物にご注意!
中国は偽物製作のメッカでもあります。電気製品から飲料水まで、コピー商品があたりまえに出回っています。 二胡も同じく製作者のサインを乱用して、高額で売られています。もっとおかしいのはナニナニ演奏家のサイン入りの二胡などです。
実際に職人さんが亡くなっていても、日本では職人さんのサイン入り二胡が沢山売られています。どういうことでしょうか?
私たちプロ演奏家はサインを見るだけではなく、一流職人の手作り二胡が個々に持つ個性と、弾いたときの音色や風格で判断できます。職人の皮の扱いまでは真似できません。