二胡の種類とその魅力 〜中国伝統楽器の豊かな世界〜
二胡は、中国の豊かな音楽文化を象徴する擦弦楽器で、2本の弦と蛇皮の音箱が生み出す独特の音色で世界中に愛されています。
しかし、実は「二胡」と呼ばれる楽器は一つではなく、音域・地域・民族によってさまざまなバリエーションがあります。
このページでは、基本の二胡から、派生型・地方型の胡琴まで、写真とともにわかりやすくご紹介します。
二胡とは?

二胡(にこ)は、中国の伝統的な擦弦楽器です。もともとは「胡琴」とも呼ばれ、中華民国時代に「二胡」と名付けられました。
2本の弦を弓でこすって音を出す仕組みで、調弦は通常完全五度(D-A)。
蛇皮を貼った音箱から生まれる艶やかな音色が最大の特徴です。

蛇皮(琴皮)
使用される素材
二胡のボディには、紫檀、血檀、黒檀、老紅木、紅木などの高級木材が使われます。
音箱の表面には蛇皮(主にニシキヘビ)が貼られ、これが特有の音色の鍵となります。
現在では環境保護のため、蛇皮の代替素材も登場しています。

紫檀(したん)

紫檀二胡

血檀(ちたん)

血檀二胡

黒檀(こくたん)

黒檀二胡

老紅木(ろうこうぼく)

老紅木二胡

紅木(こうぼく)

紅木二胡
主な産地と音色の違い
- 上海産:柔らかく繊細な音色
- 北京産:張りのある高音が特徴
- 蘇州産:両者の特長を融合した音色
産地によって音の響きや共鳴特性が異なるため、演奏者の好みによって選ばれます。
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音域によるバリエーション
高胡(こうこ)
二胡より高音域を担当し、明るく華やかな音色が特徴。主に広東音楽やオペラで活躍します。

高胡(こうこ)
中胡(ちゅうこ)
二胡よりひとまわり大きく、中音域を担う楽器。中国民族オーケストラのアルトパートとして活躍。

中胡(ちゅうこ)
大胡(だいこ)
低音域を担う大型の胡琴。音は深く重厚で、かつては民族楽団の低音部を支えていました。

大胡(大胡)
地域・民族ごとの胡琴たち
板胡(ばんふ)
北方劇で活躍するパワフルな胡琴。明瞭で張りのある音が特徴。

板胡(ばんふ)
潮州提胡(ちょうしゅうていこ)
潮州音楽で使用される繊細な楽器。文楽器の主役として活躍。

潮州提胡
三胡・四胡
少数民族によって演奏される胡琴。三胡はイ族、四胡はモンゴル系の文化に由来し、それぞれ独特の音色を持ちます。

三胡・四胡
椰胡(やこ)
椰子の殻を使った楽器で、広東・台湾など南方地域で広く親しまれています。低くやわらかい音が魅力。

椰胡
牛腿琴(ぎゅうたいきん)
ドン族の伝統楽器で、牛の脚に似た形が特徴。繊細で少しかすれた味のある音を出します。

牛腿琴
馬骨胡(ばこつこ)
チワン族の楽器で、かつて馬の骨で作られていたことに由来する名称を持ちます。

馬骨胡
奚琴(けいきん)
胡琴の原型ともいえる古い楽器。朝鮮族や満州族の伝統音楽に今も使われています。

奚琴
大広弦(だいこうげん)
台湾や福建で用いられるアルト胡琴。自然素材を使った優雅な響きが特長です。

大広弦
代表的な胡琴の比較
| 楽器名 | 音域 | 使用地域 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 二胡 | 中高音 | 中国全土 | 柔らかな音色、基本形 |
| 高胡 | 高音 | 広東、南部 | 明るく軽やか |
| 中胡 | 中音 | 全国 | 厚みのある響き |
| 大胡 | 低音 | 南部、オーケストラ | 重厚な低音 |
| 椰胡 | 低〜中音 | 広東、台湾 | 温かくやさしい音色 |
まとめ
二胡は一つの楽器にとどまらず、多彩なバリエーションと豊かな音色を持つ世界です。
その響きの違いを知ることで、より深く音楽を楽しむことができます。
お気に入りの胡琴を見つけて、あなたの音を奏でてみませんか?


