「弓毛の張り替えをしてほしい…。」 という質問がかなりありますが。

「弓毛の張り替えをしてほしいのですが…。」 というお客さまからの質問がかなりあります。

実は、二胡の場合は弓毛の張り替えはしません。消耗品なので、新品弓を購入していただくことになります。
使っていくうちに、弓毛は演奏す度に磨耗し、その上古い松脂が毛の中に蓄積され、汚れなどを引き寄せ徐々に黒くなっていきます。
この汚れの層となった古い松脂を綺麗にクリーニングする(=馬毛を洗う)という選択肢もあると思いますが、毛の磨耗(キューティクルの損傷)についてはカバーされない為、私共ではお勧めしておりません。
よって定期的に新品弓を交換して頂く事をお勧め致します。
この期間に感しては演奏の頻度により異なります。
一般的には演奏家の方でメインにお使いになる弓であれば3ヶ月、愛好家の方であれば6ヶ月、どんなにお弾きにならなくても1年に1回は弓を交換して頂くことで一定のコンディションを維持できると思いますが、これはお弾きになる方それぞれの感覚でご判断くださればよろしいかと思います。
馬毛も二胡本体と同じように、温度や湿度の影響を大きく受けます。まず温度に関しては夏場の車中への置きっ放し、冬場であれば暖房器具の近くでの保管、また一年を通して急激な温度の変化など、あらゆる危険にさらされております。

冬場に「なんだか急に毛が短くなって毛を緩めても緩みません!」という方が稀にいらっしゃいますが、お話をお伺いしますと、ご自宅での保管場所が暖房器具の近くであったり、湿度が低い時期にも関わらず加湿器を使うなどの対応をせずに長期にわたる乾燥により収縮してしまったケースがほとんどです。
また逆に、梅雨の時期には「毛が伸びてしまったようです」という相談も頂戴しますが、これは単に多湿が原因で馬毛が膨張し伸びてしまったという例がほとんどです。
馬毛は湿度により収縮と膨張を繰り返します、馬毛の種類により変化が大きいものと小さいものがありますが、どちらにしましても湿度45%~60%が理想的です。
私共の工房及び店内は年間を通して理想温度と理想湿度に維持しておりますので、馬毛の長さもほぼ一定を保ち、健康的な状態で管理しております。
弓の尾毛は、屋外だと一気に、乾燥・多湿の環境にさらされ、変化が始まります、
もちろん数時間程度では、大きな動きはありませんが、数日間続くと、目に見えて変化していきます。

二胡本体と同様、弓の為にも温湿度管理はしっかりとしてあげてください。
毛が切れたの場合は手でむしり取るようなことはしないように、ハサミで丁寧に切ってください。素手で直接毛に触らないようにしてください。