弓について

自分に合った弓との出会いが大切です

弓の種類 取り扱いから持ち方まで

二胡の弓は、他の弦楽器と同様に擦弦して音を出します。しかし、大きく違うのは、二弦の間に弓を入れて奏でる奏法です。弓には南方式と北方式の二種類があります。

南方式(蘇州弓、上海弓)

蘇州、上海二胡に用いられ、竹は手元部分で毛との間を少し広くとられています。
弓先も大き目の曲線を描いており、それらは、演奏時に、竹が弦に触れにくくするための工夫でもあります。手元には魚をデザインした透明プラスティックがつけられており、毛を固定しています。毛の着脱をするときは、手元先のねじを回して外すと、魚のパーツが外れます。弓の張り具合もねじで調整することができます。当店で取り扱っている南方式弓は名師堂高級二胡弓82cmになります。

北方式(北京弓)

主に北京、天津二胡に用いらています。竹は手元部分は直線で弓先は僅かに曲げて作られています。手元には不透明な魚型プラスティックがつけられており、毛の先は輪にしてビニールで巻いてあり、魚のパーツに引っ掛けられるようになっているので、着脱が簡単です。手元先にねじがあり、回すと魚のパーツが移動し、弓の張り具合を調節出来ます。

 

素材

竹の素材:紅竹、白竹、鳳尾竹、香妃竹など。
毛の素材:馬の尾毛。白は高級、黒とナイロン製は安価。

弓の重要性

奏者にとって、弓は二胡同様とても大切なものです。弓は持つ手の感覚を通して、音楽の様々な表現を作り出す根源となる道具です。
自分に合った良い弓に出会うと、腕に負担が掛からず美しい音が出せ、思い通りの表現で演奏が出来ます。

自分に合った弓の条件とは?

弓の長さ、重さ、弾性、竹の湾曲の形、竹の品質、手元の握り部分の作りなど、全て自分に合っているのが最高の弓です。
例えば、身長が低い方が、長い弓を持つと、重く、長すぎて、弓の良さを充分に発揮する事が出来ません。また、長身の方が短い弓を持つと、軽すぎるため、音も軽い音になり、曲の表現が思い通りに出せません。一般に長い弓が良いと思われがちですが、長さではなく、弓のバランスと、自分に合った弓との出会いこそが大切です。

「弓毛の張り替えをしてほしい…。」 という質問がかなりありますが。

実は、二胡の場合は弓毛の張り替えはしません。消耗品なのです。
弓毛は演奏する度に磨耗し、古い松脂が毛の中に蓄積され、汚れます。毛の磨耗(キューティクルの損傷)は、元に戻せないので、新品弓に交換して頂く事をお勧め致します。

この汚れの層となった古い松脂を綺麗にクリーニングする(=馬毛を洗う)という選択肢もあると思いますが、磨耗したものが、元にもどることはない為、私共ではお勧めしておりません。
定期的に新品弓を交換して頂く事をお勧め致します。一般的には演奏家の方でメインにお使いになる弓であれば3ヶ月、愛好家の方であれば6ヶ月、どんなにお弾きにならなくても1年に1回は弓を交換して頂くことで一定のコンディションを維持できると思いますが、これはお弾きになる方それぞれの感覚でご判断ください。

 

弓の馬毛は温度や湿度の影響を大きく受けます。

夏場の車中への置きっ放し、冬場の暖房器具の近くでの保管、一年を通して急激な温度の変化に気をつけて下さい。冬場「急に毛が短くなって毛を緩めても緩みません」という方は、乾燥を疑ってください。
梅雨時「毛が伸びてしまった」という方は、多湿が原因です。馬毛は湿度により収縮と膨張を繰り返します、馬毛の種類により変化が大きいものと小さいものがありますが、どちらにしても湿度45%〜60%が理想的です。 二胡本体と同様、弓の為にも温湿度管理はしっかりと心がけてください。

弓毛の取扱について

毛が切れたの場合は手でむしり取るようなことはしないように、ハサミで丁寧に切ってください。手で引きちぎると他の毛も切れてしまうことがよくあります。また、手の汗や皮脂が弓毛につくと、すぐ汚れてしまう上に、音色が悪くなり、松脂もつけにくくなります。くれぐれも、素手で直接毛に触らないようにしてください。

収納時の弓の向きについて

多くの方々は、当たり前のように、弓の手持ちの部分を二胡の頭部に合わせて、ケースに収納されています。実はこのしまい方は良くありません。なぜなら、練習時、弓を降ろしたときに、弓の毛が蛇皮の鱗に引っかかり切れてしまう事が多いからです。鱗にひっかからないように、手持ちの部分を下にして収納してください。

×悪い例

○正しい例

曽朴のコメント

弓には何本の毛が使われているのでしょう?名師堂の高級弓は260本使っています。130本ずつの束を方向変えて、まとめられています。毛には目に見えない刺があり、その刺が擦弦時に摩擦を起こし、音が出ます。
弓を動かす時に常に摩擦が起きるように毛の二束の向きを違えてセットするわけです。刺の荒いものは安価な二胡や京胡に使われています。馬の尾毛の産地は中国内モンゴルとモンゴルです。
馬毛も二胡本体と同じように、温度や湿度の影響を大きく受けます。くれぐれも急激な温度の変化を避けてください。湿度45%〜60%が二胡にとっても、弓にとっても、理想的な湿度です。

 

弓の持ち方

体に力を入れないで、リラックスすることが大切。肩、腕、手首、指が固くなりがちですが、緊張することが上達の道を妨ぐ原因です。
正しい弓の持ち方は、上達への第一歩。
×悪い例
弓をしっかり握るように固定して持ってしまうと、弓を自由に動かせません。
お箸を持つように、しっかり持っていても、自在にあやつる事が出来るような持ち方をしましょう。
○正しい例
正しい弓の動かし方をすると、美しい音色を出せます。弓の根元から、弓先まで長く使うことが弓の動かし方の基本です。
弓を上下にぶらさず、なめらかに水平移動させる練習が必要です。弓を胴の上に安定させ、重心を自然に下方に置き、擦弦することが大事。

ダウン.ボウ(例) アップ.ボウ(例) 弓を擦弦する時、速度と圧のバランスを取ることが重要です。速度が速い時は、圧は強めに、速度が遅い時は、圧を緩めにすると、ノイズが少ない綺麗な音になります。
左手でポジションを正しく押さえ、その位置に慣れ覚えること。正しい音程が取れると、メロディーがはっきりします。
楽しく二胡の練習をするためには、確かな二胡が必要です。変なおみやげ二胡ではなく、良い練習二胡と出会うことも大切です。

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