新品二胡に調整が必要なわけ。千斤のつけかえ

なぜ新品二胡は調整しなければならないのでしょう?

二胡が製作工房、工場から出荷される状態についての実際の話をしましょう。
中国の二胡製作の現場は、高い二胡も安い二胡も実は、最低限の部品をセットしているのです。つまり、弦も、駒も、控制綿、千斤など全て安い材料のものを使っているのです。一流職人さんの製作二胡も驚くことに、同様なのです。
調整される前の二胡は、持ち味が70%の音色しか出せません。あとの30%は、奏者本人による調整如何ということになるのです。私の教室に持ち込まれた問題二胡は、全てが悪いおみやげ二胡ではありません。ただ調整されていないというだけの理由でノイズが多く、音程が不安定で、響きがなく、二胡本来の音色が出ていませんでした。このような二胡は調整すると、そこそこ納得いく音色だったり、持ち主が感動される程良い音になったり、変わるのです。
中国でも楽器屋さん販売している二胡は調整済ではありません。奏者が、自分の好む音色に、調整していくのが、当たり前のことなのです。
例えば、生徒の新品二胡は、先生が調整してくださるのが普通です。二胡暦を積めば、自分で試しながら、そこそこ調整できるようになり、それが成功する時もあり、失敗して先生にみてもらうこともあります。

二胡の調整とは、どんな事をするの?

調整は次のような事が必要です。
千斤のつけかえ、弦をはずし、良い弦に張り換える。
ヘビ皮と相性の良い駒を選び、控制綿のスポンジが乾燥しやすいので、自分でビロードから作る。
以上の工夫がうまく出来ると、100%の二胡の音色が出るのです。

具体的なやり方

1.まず二胡の弦をはずして、千斤を変えましょう。
一般的に新品二胡は糸千斤がセットされています。

糸千斤は弦を棹に引き寄せる力が充分ではありませんので、永年使用すると切れることが多々あります。
音程が不安定で弦を左手で押さえる時、知らないうちに、位置がずれてしまうことがあります。
擦弦する時、千斤をしっかり固定してないので、音のノイズが多く、音の響きにも悪い影響があります。

2.金属の北京式千斤も換えたほうが良いと思います。

材質から見ると、金属千斤は、弦を棹に引き寄せる力が充分あります。永年使用も大丈夫だと思いますが、ただ、弦も金属なので、千斤の金属部分と接すると、どんな音が出るか、皆さんも分かりますね。
音色は金属的な音色で、ノイズが出ます。いわゆる二胡の深い音色になりません。

私のお勧めの固定千斤を使ってみましょう。
名師堂オリジナル固定千斤は、プラスチック製又は、水牛の角で出来たものです。
名師堂千斤
名師堂水牛千斤

プラスチックと水牛の角材質は硬質で、弦を棹に引き寄せる力が充分あり、永年使っても切れる事がなく変形せず、テグスで留めているので棹に傷をつける事もありません。
テグスで結びつけるのは少し難しいのですが、いったん装着すると、棹と千斤はしっかりと固定され、演奏中にずれて、音程が不安定になることがありません。
美しい音色を出すために、金属の弦と硬質千斤が直接触れないようにゴムを噛ませます。ノイズもなく澄んだ音がよく響きます。ゴムは年に一度新しいものに入れ換えが必要です。

二胡の音程が不安定で、ノイズが多くて、困っている方、是非一度試してください。
【追加情報】
まず自分に合った千斤の位置を決めましょう

左手の肘を二胡の胴の上に置き、棹に手を沿わせ指を真っ直ぐに伸ばし、中指の付け根から小指の付け根の範囲が千斤をつける位置になります。