名師堂の裏技
材質だけが良い二胡の条件ではありません
最近名師堂に他店で求められた高級二胡をご持参になり、美しい音色が出るように、調整を依頼される事が度々あります。
二胡の胴に刻まれた作家名も素材もそんなに悪くないのに、なぜ深いつやのある美しい音色が出せないのか?お客様からよく聞く質問です。日本で二胡を求める方は、家具を求めるように材質とデザインにこだわってしまい、残念ながら二胡の本質を見極めていらっしゃいません。
持ち込まれた高級二胡でお値段を聞くと、この二胡にそんなに支払われたのかと私も吃驚します。気の毒で本当の二胡の価値をお告げすることすら出来ない私です。やはり二胡を輸入仕入れる人こそがプロでなければ、木材の価値だけで高値がついて、二胡の音色も良くない、材質のみが一人歩きしてしまっているのが実態です。
良い二胡の音色とは、こだわりの材質、蛇皮の厚み、制作時の蛇皮の扱い、皮の張り具合、職人の腕など全ての条件がそろう必要があります。つまり注文主がこの条件を完壁に職人さんに伝える裏技が必要なのです。
私が中国最高職人の二胡制作工房を訪ねると、彼らはまず二胡を数本持って来て「弾いてみてください。如何ですか?」と訪ねます。実は職人さんは、私の演奏家としての腕を見ているのです。私が出された二胡をそれぞれに弾いた後いろいろな意見を述べると、試験合格といった感じで、お互いの信頼関係が生まれ、職人さんも真剣に対応してくれます。もし二胡が弾けない、二胡の知識の無い人が行っても、最高職人には相手にもされません。
単に材質と価格のみで買い付けすると、足元を見られバカにされます。紫檀二胡であっても、蛇皮のレベルを落としたり、制作にも気を配って作ってくれません。つまり「この私の最高の二胡を作ってあげても、その良さが、お前に分かるか?」という感じですね。
皮の厚み、皮の扱いは二胡制作の最も大切なところなので皮の厚みと品質によって価値は全く異なります、厚みは鱗のサイズではなく、見た目には判断できません。唯一音のみで分かるのです。二胡のベテランでなければ二胡を扱う仕事は難しいでしょう。名師堂の二胡は、値段交渉に無理は言っておりません。安くても制作に手を抜いた二胡は不必要だからです。職人さんは自分の認めた注文主に対しては従順といっていいほど良い仕事をしてくれます。これは職人気質とでも言うのでしょうか。信頼関係が何より重要です。
しかし、二胡はいくら名の通った製作工房で作られていようと、どんなに腕の良い最高職人が作っていても音の調整までは施していないのです。二胡は正しく調整しなければ、どんなに品質が良いものでもその個性や持ち味を最大限に引き出し、活かすことはできません。
二胡の調整は、千斤や駒を取り付けたり、弦を張り替え弓に松香を塗るというような技術的作業として誤解されているようですが、一つ一つの二胡の個性や理想的な音色を引き出すためには、長年の経験に裏打された、二胡の音に精通する豊かな感性を持ち合わせていなければ、真の意味での調整はできないのです。
「名師堂」の二胡は、中国有数の最高職人が蘇州二胡の伝統に恥じない二胡づくりの「こころ」が込められています。そしてその心意気に応えるべく、一本一本の二胡の特徴を余すところなく二胡を知り尽くした技術者が丹念に調整して皆さまにお届けいたします。一人でも多くの二胡愛好家の皆さんに、プロ用二胡から出る音色で二胡演奏の楽しさを知っていただきたいと願っています。
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